イベントとちぎ建築プロジェクト2020・マロニエBIM設計コンペティション

マロニエBIM設計コンペティション2020

令和2年12月17日、栃木県総合文化センターにて「とちぎ建築プロジェクト2020・マロニエBIM設計コンペティション」が行われました。

今回は例年とは違い、コロナ禍の中で開催ということでこれまでのような会場でコンペティションを行うのではなく、1次審査を勝ち残った8名はそれぞれ学校や会社からzoomを使ったリモートでのプレゼンテーションということで、新たなカタチの形態で開催されました。

また、新たな試みとして、会場の様子をYouTubeにてライブ中継するなどよりリアリティ溢れる様子も伺えました。

開会挨拶(佐々木会長)

「国土交通省はSociety5.0の社会実現に向けて、建築BIM推進協議会を立ち上げた。とちぎ建築プロジェクトも昨年から日事連と共催となり、応募資格も学生のみから社会人にも拡大してより参加の幅を広げました。当協会の若手会員の活躍によってこれまでの準備とリモートでの開催ができたことを感謝します。」

佐々木宏幸氏

コンペ審査

審査当日はプロジェクターに映し出された8作品のプレゼンテーションを聞き、各審査委員と発表者が質疑を交わし、その後、別室に移動して池田靖史氏主導の元、5人の審査委員で厳正な審査をし、最終的に5作品を選出しました。

「72時間以内で設計し作品を完成させる」という制約の中、学生及び社会人の参加者の皆さんは腕をふるって作品を仕上げてきました。内容はどれもコンセプト内容の充実や作品精度の高さなどレベルの高いものでした。

受賞された作品の印象として、見た目の印象はもちろんのこと、内容と条件の整合性・造形力と総合力が優れている作品が受賞されたことと、コロナ禍を想定したものなども受賞のポイントになったのではないかと思われます。

また、今回はこのような状況での開催ということでリモートでの発表となったわけですが、新たな表現方法として今後も離れた場所からでも、例えば海外からプレゼンテーションなど新たな可能性もあるかと思われます。

コンペの概要

設計課題

大谷石採掘場跡を利用した宿泊施設

敷地として設定されている場所は大谷石の石切場跡地であり、垂直に切り立った崖や転用の可能性を感じさせる横穴などのわかりやすい特徴も持っていますが、全国津々浦々にある様々な特徴的な場所が、この新しい地域活性化のチャンスにどのように答えるのかは普遍性のある課題であるとも考えられます。

本コンペティションでは建物規模や部屋数などの機能プログラムの詳細、建築制限などについて一切、規定致しません。ただ敷地として指定された大谷地区の石切場跡地に、これからの時代にふさわしい宿泊施設を提案して、地域の活性化に向けた参加者それぞれの展望と技量を競っていただきたいと思います。

応募資格者学生
一級建築士の受験資格要件に定められた学校に在籍する学生(個人)

社会人
(一社)日本建築士事務所協会連合会の各単位会に所属する建築士事務所の所員(個人)

エントリー受付

期日
令和2年11月29日(正午まで)

コンペティション期間
令和2年11月27日PM12:00〜11月30日PM12:00(72時間)

審査委員

池田 靖史 建築家・慶應義塾大学政策メディア研究科 教授
安野 芳彦 株式会社梓設計
取締役副社長BIM推進担当役員
佐野 吉彦 株式会社安井建築設計事務所代表取締役社長
川村 定男 (公財)とちぎ建設技術センター常務理事
佐々木宏幸 (一社)日本建築士事務所協会連合会名誉会長
(一社)栃木県建築士事務所協会会長
AIS総合設計株式会社代表取締役

コンペ受賞者一覧

最優秀賞 突然やってくる日常、気付かされる風景 松尾賢史(熊本大学大学院)
優秀賞(社会人部門) 大谷の光 大内拓海(AIS総合設計)
優秀賞(学生部門) Rock’nOYA~石がつなぐ大谷の未来~ 新納悠加(麻生建築&デザイン専門学校)
審査員特別賞 Co-BIM 平郡元貴(安井建築設計事務所)
審査員特別賞 大谷石切場跡地に立つ岩窟レストランのあるホテル 岩本茂美(傳設計)

マロニエBIM設計コンペティションの受賞者及び最終公開審査プレゼンテーション動画は、 (一社)栃木県建築士事務所協会ホームページにてご覧いただけます。

コンペ受賞作品

最優秀賞

「突然やってくる日常、気付かされる風景」
松尾賢史(熊本大学大学院)

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優秀賞(社会人部門)

「大谷の光」
大内拓海(AIS総合設計)

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優秀賞(学生部門)

「Rock’nOYA~石がつなぐ大谷の未来~」
新納悠加(麻生建築&デザイン専門学校)

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審査員特別賞

「Co-BIM」
平郡元貴(安井建築設計事務所)

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審査員特別賞

「大谷石切場跡地に立つ岩窟レストランのあるホテル」
岩本茂美(傳設計)

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コンペ講評(審査委員長・池田靖史氏)

「今回のコンペは、BIMで設計することに発展と可能性を感じられ、多くの人々に夢を伝えることができたことは成功であったと思っている。また、コロナ禍ということからプレゼンはリモートで行われたが、リモートになることでBIMの操作がリアルタイムで見られてわかりやすくなり、今後の建築のプレゼンやコミュニケーションの在り方が変わっていくと感じた。BIMについては更に色々なことができる可能性があり、他分野とのコラボレーションやタイアップも大いに期待できると思っている。」

池田靖史氏

初めての試みを終えて

今回コロナ禍の中、一時は開催さえも危ぶまれましたが実行委員会スタッフ一同、一丸となって開催にまで漕ぎ着けることができました。プロジェクトを支えてきたメンバーから、大変だったこと、苦労したこと、今後に向けて改善していきたいこと、などコメントをいただきました。

プロジェクト実行委員会委員長:小林 基

「今回、プロジェクト2020の実行委員長を務めました小林でございます。まずは、協賛頂きました皆様に感謝申し上げます。実行委員会の皆様、ご苦労様でした。期間のない中、またコロナ禍でのリモート会議等、大変なことだったと思います。スタッフの皆様が優秀で責任感をもって動いてくれた事で、無事にプロジェクトを終える事が出来ました。ありがとうございます。」

実行副委員長総括補佐:本澤 崇

「本年度の当該事業は、コロナ禍で開催も危ぶまれておりましたが、会長の強い想いからこの状況下でも継続可能な事業として、例年より4か月も遅れて準備企画がスタートしました。正直、企画準備段階は綱渡り状態でした。勿論準備もリモート会議が中心でして、例年と異なるスタイルで新たな試みでした。
感染症が流行すると時代が大きく変化すると言いますが、まさにこの事業も感染症に翻弄されて大きく変革したと感じた年度でした。準備から設営まで従事したスタッフも若返りがあり次世代メンバーが主力となり、新たな試みに挑戦して同じベクトルに向かい成功に導きました。このコロナ禍でのイベント開催、そして成功は新たな可能性を見出せたのではないかと思います。事業に関係した皆さま、大変お疲れさまでした!」

実行副委員長PJ運営責任者(総合):阿久津 修平

苦労したこと
「工程の作成及び当日タイムスケジュールの作成リモートによるプレゼンテーションという新しい試みの中、準備期間が短くて大変だった。」

反省点
「やはり準備期間の短さに伴い、エントリー期間が短くコンペ周知がうまく行かなかったのではないかと思います。内容が固まらないとなかなか周知活動をすることも難しいが、小出しでも良いのでポータルサイト等で順次UPしていく方法もあるのかも知れません。」

実行副委員長審査員担当:塩田 真吾

「例年になく限られた時間の中、幾度となく行われた実行委員会及び池田先生や審査員とのZOOM会議では、主に当日の全体運営目線や、審査員目線での押さえ処に意識を持ち、連絡を取りあっていたものの、それでも抜け落ちがあるなど1人では限界がありました。そんな中、今までの主力メンバーに加え、新たなメンバーがそれぞれの役割に力を発揮していたことに、会のメンバーの層の厚さを感じました。反省点があるとすれば、偏ったメンバーの負担を減らすことがまだ可能になるという意味で、もっと早くからメンバーをフルに活かし、役割を細分化し、それぞれに(例えば2人ずつ)担当を決められれば、役割毎に揉んだ内容を委員会ないし委員長・副委員長に図るカタチが取れたのでは、と思います。いずれにせよ、あの日数の中でリモートを駆使しながらカタチになったことは素晴らしいことだと思います。」

実行副委員長コンペ担当:横松 邦明

「コロナ禍の中、リモートでのコンペ。完全に新しい試みに対して、かなり試行錯誤。結果としては素晴らしい事が出来たと思います。反省点としては一部のメンバーへの負担が大きくなりすぎています。この感じを毎年繰り返すのは無理があるかなと思います。」