イベントマロニエBIM設計コンペティション2022結果発表

1.開催概要

マロニエBIM設計コンペティション2022は、11月26日に最終公開審査が実施され、国土交通大臣賞、日事連会長賞、宮城県知事賞、仙台市長賞、奨励賞の各受賞者が決定した。

今年度は『青葉山公園に杜の都のスポーツ文化を象徴するBIM活用デザインの提案』をテーマに、杜の都仙台の新たな魅力を創造すべく、青葉山と広瀬川に囲まれた歴史・文化エリアの「青葉山公園地内」に宮城の歴史を継承し、自然景観に配慮した仙台のスポーツ文化を象徴するものをデザインし、BIMを活用して提案することを求めるものであった。

今年度新たな取り組みとしてグループでの参加も可能とし、審査委員に国土交通省・宿本建築指導課長が加わり、最優秀賞に国土交通大臣賞を新設した。

2.実施結果

 エントリー数 :61(学生38、社会人23)
 作品提出数  :32(学生16、社会人16)
 一次審査通過数:9(学生3、社会人6)

3.二次審査(公開審査)

 開催日時:11月26日(土)13:00~
 会  場:エル・パーク仙台6階スタジオホール
      宮城県仙台市青葉区一番町4-11-1 141ビル
 出席人数:1グループ2名まで
 審査方法:対面またはオンラインによるプレゼンテーション
 発表時間:7分間の提案説明、5分間の質疑応答

4.受賞作品

最優秀賞 国土交通大臣賞

グループ名:株式会社安井建築設計事務所 大阪
海本芳希、梅本晟司 、篠原諒、鎌田蒼、池上功祐 、金沢美怜、川島裕弘、川中大地、
山崎友輔、山田陽太 
所属:株式会社安井建築設計事務所 大阪事務所
作品名:ふいに「みる」

優秀賞 日事連会長賞

グループ名:とおるもん
佐伯楓倭、内田空吾、小野将人、山ノ井太陽 
所属:麻生建築&デザイン専門学校
作品名:Health Memory

優秀賞 宮城県知事賞

グループ名:AIS総合設計
金子竜太郎、山田一眞、齋藤俊明、塚本裕士、菊野優、木村岳、飯塚進太郎
所属:AIS総合設計株式会社
作品名:せんだい Health Hub

優秀賞 仙台市長賞

グループ名:株式会社関・空間設計
門脇悠、David Coyle、小林誠、富樫遼太
所属:株式会社関・空間設計
作品名:境界の更新

奨励賞

加々美理沙
所属:ingenhoven architects (IA)

奨励賞

加藤穂高
所属:福井大学大学院
作品名:遊びになぞらえて

奨励賞

グループ名:(株)本澤建築設計事務所
川見肇、齋藤広務
所属:株式会社本澤建築設計事務所
作品名:スポーツが環る場所

奨励賞

グループ名:株式会社安井建築設計事務所 東京事務所
髙橋朋、猪熊春陽子、水野綾子、須貝仁、髙橋和佳奈、田邊翔太、古賀愛乃、堀端光 
所属:株式会社安井建築設計事務所 東京事務所
作品名:ふIM

奨励賞

グループ名:Re.ナナナガレ
祷凜太朗、伊藤宏次朗、江藤隆介、甲斐吏、平岡樹弥
所属:麻生建築&デザイン専門学校
作品名:あそびごころの杜

審査委員特別賞 藤本壮介賞

加藤穂高
作品名:遊びになぞらえて

5.講評

藤本壮介 審査委員長
本日の9作品を一次審査で選べてよかった。それぞれ個性的で思いの詰まった作品ばかりで色々なインスピレーションをいただいた。今日のみなさんのプレゼンテーションを聞いて、BIMの可能性を実感した。建築は3次元のものでそこに設計者の活動が加わるが、BIMを使うことでさらに設計者が扱える次元が拡張されたように感じ新鮮だった。
社会の中で捉えきれていなかったものがBIMの情報と統合することによって捉えられるようになり、建築を理解する幅が広がる、そういう時代に差し掛かっていると思う。BIMはそのための大きなプラットフォームになり得ると思う。BIMがテクノロジーとして高まれば高まるほど、リアルな体験や感覚がますます重要になってくることを感じた。
今回のコンペで建築の本質を問い直させてもらえるような提案が多くあり、質疑応答の時間も含めて刺激的であった。来年以降も続けていってもらいたい。

池田靖史 コーディネーター兼審査委員
非常にレベルが高く、審査が難しかった。レベルが高くなっている理由としては、それだけみなさんがBIMを道具として利用するだけではなく、社会を良くするメッセージ、建築デザインを出せるのかどうか真摯に向き合っている作品ばかりで、そのことが非常に嬉しかった。本当にわずかな差ではあったが、最優秀賞を受賞した作品は、日頃からそのようなことに向き合っていたのではないかと思う。

宿本尚吾 審査委員
BIMを使って新しい設計・空間を作っていただくことは、建築行政にとっても建築業界にとっても大変良い話だと思います。ぜひ我々世代を追い越して、新しい世界をつくっていっていただきたい。

本江正茂 審査委員
今回はスポーツ文化とBIMがテーマになっている。スポーツはレースとゲームの2種類に分けられる。レースは「よーい、ドン」で先にゴールした方が勝ちとなる。ゲームはルールがあり、手を使ってはダメ、ボールを持って3歩以上歩いてはダメなどルールを人為的に決めて競うのがゲームです。なぜゲームをするのかというと、そうした方が面白いからルールを作っている。多くのツールに対する認識として、決まっている作業を効率的に行ったり、手戻り無く行えたりと、より効率的にゴールできるといったものでBIMを捉えることが多いかもしれないが、本日の上位入賞者のプレゼンはBIMを使ってレースに勝つのではなく、ゲームを作り出すといった提案をしていたことが良かったと思われる。何が面白いのか考えるときもBIMを使うことができる。スポーツとBIMの新しい関係を見つけていただいたようで、面白く見させていただいた。

齋藤隆太郎 審査委員
通常のコンペは製作期間が数か月間あり、その期間中に粛々と進めるか、最後に一気に行うかの2パターンに分かれるが、本コンペは非常に特殊で、短い時間の中で皆が一斉にスタートし、フラットな土俵で競い合うといった興味深いものであった。その中でも作品のクオリティが高かったことが印象的でした。今回はスポーツとBIMがテーマになっていたが、BIMが目的になってはいけない。提案された空間や建築がどのようになっているかもテーマとしてあり、示唆に富む内容が多くあった。スポーツという点では遊びや生活からの延長と捉えている方が多く、そのような中でBIMを設計・建設だけではなく、人間の技術に沿うような提案がなされており、気づかされる点も多く勉強になりました。

佐野吉彦 審査委員
年々レベルが上がっており、一次審査にも良い作品が多く、非常にワクワクして審査を行えました。各々の参加者が、一次審査提出作品からさらに仙台の地にふさわしいアイディアやスポーツ文化はどうあるべきかなどを究めて、本日のプレゼンテーションに臨んでいただいたことに感謝したい。BIMの可能性を改めて感じた。

佐々木宏幸 審査委員
長年やってきたが、やはりレベルが上がっていることを実感しています。本コンペはBIMの普及が最大の目的ですが、参加者を増やすことだけではなく、実施する単位会がBIMのことを真剣に考えないとこのコンペはできない。単位会が持ち回りで行うことでBIM普及の一助となり、末永く本コンペティションが続くことを願っている。

岩本茂美 審査委員
一次審査はIFCデータとプレゼンシートを見比べて審査を行った。IFCデータが物足りなくてもプレゼンシートで巧みに表現しているものから、歴史を紐解いたような作品も見られ、年々レベルが上がっていると感じた。ただ、点群データを上手く使うことが今後の課題と思われる。

髙橋清秋 審査委員
多くの方にご参加いただき感謝したい。是非また次年度のコンペにもご参加願いたい。

6.開催概要(コンペ応募要項より抜粋)

応募要件

BIMを学ぶ学生、建築士事務所に所属する者(グループでの参加も可能。上限10名まで)

エントリーおよび作品提出方法

WEB サイトおよび専用サーバー

エントリー期間

令和4年10月1日(土)~令和4年10月27日(木)

コンペ実施スケジュール

課題の概要発表 令和4年10月1日(土)
課題の詳細発表、オンライン説明会 令和4年10月29日(土)
コンペ実施期間 令和4年10月29日(土)~ 11月8日(火)17:00
一次審査通過者発表 令和4年11月16日(水)
二次審査(公開審査)令和4年11 月26日(土)13:00~

対象敷地

宮城県仙台市青葉山公園整備地内(仮想空間としての対象敷地) 

審査委員会

審査委員長 藤本壮介 建築家、藤本壮介建築設計事務所代表取締役
コーディネーター兼審査委員 池田靖史 建築家、東京大学工学系研究科建築学専攻特任教授 
審査委員 宿本尚吾  国土交通省住宅局建築指導課長
     本江正茂  東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻准教授
     齋藤隆太郎 建築家、東北工業大学建築学部建築学科講師
             /DOG一級建築士事務所主宰
     佐野吉彦  日事連理事/BIMと情報環境ワーキンググループ主査
     佐々木宏幸 栃木県建築士事務所協会会長
     岩本茂美  福岡県建築士事務所協会会長
     髙橋清秋  宮城県建築士事務所協会会長

主催 

(一社) 日本建築士事務所協会連合会

共催

(一社) 宮城県建築士事務所協会
(一社) 栃木県建築士事務所協会
(一社) 福岡県建築士事務所協会

後援

国土交通省、宮城県、仙台市、(公社)日本建築士会連合会、(公社)日本建築家協会、
(一社)日本建築学会、建築情報学会

協賛

(株)総合資格、福井コンピュータアーキテクト(株)、オートデスク(株)