コラム日事連のBIM普及・活用の取り組み①

日本建築士事務所協会連合会(日事連)では、BIMやデジタル技術の活用能力の向上が、これからの建築士事務所の経営にとって喫緊の課題であると位置付け、2018年9月「BIMと情報環境ワーキンググループ」を設置しました。
そして、現状のBIMの普及状況や日事連会員事務所の約8割が30人以下であることから、主に中小事務所へのBIM普及・推進に向けた活動を行い、BIMポータルサイト(本Webサイト)などを通じて広く一般にも情報提供を行っています。
ここでは、そうした取り組みの一端を紹介します。

マロニエBIM設計コンペティション

日事連では、学生や建築士に対し、BIM導入意欲を高め、BIM活用能力の向上と積極的な活用のきっかけとすることを目的に、2014年からBIMを利用した設計コンペ「マロニエBIM設計コンペティション」を開催しています。
また、2019年度からは、学生だけでなく社会人にも対象を広げ、国土交通省の後援などを受けて毎年開催しています。開催地を各都道府県持ち回りとすることで裾野を広げ、日本各地のBIM活用リーダーの育成にもつながっています。
2023年度は大阪で開催される予定ですので、是非参加してみて下さい。

左)2021年度最優秀賞 -Link Unit-  右)2022年度最優秀賞 ふいに「みる」

BIMで変わる、BIMで変える

BIMの普及・促進を目的として、最新情報の紹介や基礎知識の提供など、BIMやデジタル技術などを幅広い視点から紹介する連載記事「BIMで変わる、BIMで変える」を、会誌「日事連」にて隔月で掲載しています。
主に日本各地の中小建築士事務所の事例を中心に、BIMの導入経緯や活用事例、BIMを活用した今後の事業展開など様々な記事を掲載しています。
なお、この連載記事のバックナンバーは、「導入事例」でも読むことができますので、BIMの導入や活用の参考としてみて下さい。

BIMポータルサイト「BIM GATE」

BIMの初心者からBIMを活用した業務を展開したい建築士、BIMを活用している建築士事務所を探している建築主やインターンシップ先を探している学生など、BIMに関わる幅広い人々を対象としたBIMポータルサイトを企画・運用しています(本Webサイト)。
BIM研修やBIM設計コンペ、連載記事、BIM業務に対応できる建築士事務所の情報を蓄積するデータベースとしても活用できます。今後も幅広く活用していただけるよう、充実を図っていきたいと思いますので、情報提供や運営のアドバイスなどを是非お寄せ下さい。

2023年度(令和5年度)の取り組み

会員事務所から「BIMを導入・活用する上で日事連に最も期待すること」というアンケートに対して、「BIMの普及・啓蒙のためのセミナー」や「BIMのスキルアップセミナー」の開催を望む声が数多く寄せられていました。
そのため、複数年度に渡ってBIMを導入していない、あるいは、導入しているが活用できていない建築士事務所の開設者や管理建築士に向けて、BIMのメリットや活用事例などを紹介するセミナーを行ってきました。
2023年度は国からの補助も受け、BIMの実務者、建築士事務所の開設者や管理建築士などの資質を高める目的で、これらの研修をさらに充実させます。「BIM GATE」でも随時、研修の案内を掲載していきますので、この機会に是非ご参加下さい。

BIM技術者に対する技法、技術研修の詳細はこちら

日事連では、会員事務所の率直な声と向き合い、国や様々な業界団体などとも積極的に連携し、これからも建築設計におけるBIMやデジタル技術の普及と活用のための活動を進めていきます。
そして、皆さんと共にBIMへの扉を開き、BIMによって建築士事務所や建築界をリードし、さらに建築界を超えたメリットを社会全体にもたらすために貢献していきたいと考えています。

執筆者:BIMと情報環境WG委員 繁戸 和幸