BIMナレッジベースRevitのBIMオブジェクトについて

オブジェクトの呼称と種類

RevitにおけるBIMオブジェクトは、一般に「ファミリ(※注1)」と呼ばれます。ファミリは、BIMモデルを構成する情報オブジェクトであり、形状・属性情報・振る舞いを併せ持つ点が特徴です。

RevitのBIMオブジェクトを理解するうえで重要となるのが、「カテゴリ→ファミリ(階層構成)→タイプ→インスタンス」という段階的な構造です。

※注1:Revitの厳密な定義では、プロジェクト上に配置された要素は「ファミリインスタンス」と呼ばれますが、実務や教育の現場では、配置された要素を含めて総称的に「ファミリ」と呼ぶことも一般的です。よって本解説では、RevitにおけるBIMオブジェクトの総称として「ファミリ」という表現を用いますが、個々のオブジェクトの状態や振る舞いを説明する際は「インスタンス」として区別します。また、特に次に説明するような階層構成におけるファミリの概念を説明する際には「ファミリ(階層構成)」という言い回しを用いて説明します。

  • カテゴリ
    壁、ドア、家具といった部材・部位ごとの大分類であり、表示制御や集計、タグ付けの基準となります。
  • ファミリ(階層構成)
    要素の形状や属性情報、動作のルールをまとめた部品定義であり、同じ種類の要素を作るための元となる、オブジェトの「ひな形」ともいえるものです。
  • タイプ
    同一に部品定義された「ひな形」としてのファミリ内で、寸法や仕様が異なるバリエーションを指します。タイプの変更は、同一タイプに属するすべてのオブジェクトに影響します。
  • インスタンス
    モデル上に配置された個々の要素を指します。タイプで定義されていない形状や仕様はインスタンスで定義することができ、インスタンスごとに別の振る舞いをします。
    このような階層構造を把握することで、「なぜこれらの要素が同じように表示・集計されるのか」「オブジェクトの設定を変更した際にどこまで影響が及ぶのか」といったRevitの挙動を理解しやすくなります。


Revitのファミリは、主に以下の3種類に分類されます。

  • システムファミリ
    壁・床・屋根・天井・レベル・通芯など、建物を構成する基本となる要素が属します。外部ファイルとして保存することはできず、プロジェクトに内包され、プロジェクト設定の一部やテンプレートとして管理されます。
  • ロード可能なファミリ(.rfa)
    建具、家具、設備機器、構造部材、注釈要素など、外部ファイルとして管理・読み込みが可能なファミリです。システムファミリと異なりカスタマイズ性に富んでおり、サードパーティやメーカーが提供するBIMオブジェクトの大部分はこちらに該当します。
  • インプレイスファミリ
    特定のプロジェクト専用としてプロジェクトファイル内で作成・管理されるファミリであり、個別形状や例外的な要素の表現に用いられます。


また、寸法線や注釈記号、タグといった二次元の注釈要素もファミリとして定義されています。3D要素と2D表現を同一の仕組みで管理できる点は、Revitの特徴の一つです。

図1:ファミリの分類

主な特徴や性質

Revitにおけるファミリは、単なる3次元形状ではなく、パラメータによって制御される情報と、それに基づいて表示される形状・グラフィックスのセットとして構成されています。各ファミリには、寸法・材質・仕様などのパラメータを設定でき、変更が発生した際も、モデル・図面・集計表が連動して更新されます。

ファミリの最大の特徴として、「タイプ」に基づく「タイプパラメータ」と「インスタンス」に基づく「インスタンスパラメータ」の二階層のパラメータを持つ点が挙げられます。
(※インスタンスパラメータのみを持つ空間オブジェクト(部屋)など、一部のオブジェクトを除く)

  • タイプパラメータ
    同一タイプに属する要素すべてに共通して作用する情報であり、形状や仕様等のバリエーションの管理に適しています。
  • インスタンスパラメータ
    配置された個々の要素(インスタンス)ごとに設定できる情報であり、場所毎に異なるサイズや仕様など、個別性が求められる項目に利用されます。


例えば壁カテゴリの「標準壁」ファミリには、「コンクリート壁」と「乾式間仕切り壁」といったタイプを定義することができます。コンクリート壁にタイプパラメータで壁厚=180mmと規定することで、配置された同タイプのコンクリート壁はすべて壁厚=180mmとなります。

仮に壁厚のパラメータを200mmに変更した場合、同タイプの壁の厚さを一括で200mmに変更することができます。一方で同じ「コンクリート壁」であっても配置されている場所毎に壁高さが異なるケースがあります。壁高さはインスタンスパラメータで定義されているため、インスタンスAではH=4000mm、インスタンスBではH=3000mmといった別々の振る舞いをすることになります。

図2:カテゴリからインスタンスの構成とタイプ&インスタンスパラメータ

さらに、Revitではパラメータの適用範囲という整理軸も重要になり、「その情報をどこまで使いたいか」によって種類が分かれます。ファミリの中だけで使うのか、プロジェクト内で使うのか、ファミリ間や、他のプロジェクトでも共通で使いたいのか、という違いです。

  • ファミリパラメータ
  • プロジェクトパラメータ
  • 共有パラメータ

この中でも「共有パラメータ」は、プロジェクトやファミリをまたいで共通利用できる仕組みであり、集計表やタグ表示、外部データ連携において重要な役割を担います。

共有パラメータの識別はパラメータ名称ではなく、内部的に付与されたGUID(Globally Unique Identifier)によって判断されている点に注意が必要です。GUIDとは32文字で構成されるIDであり、共有パラメータが作成されたと同時に自動的に付与され、理論的には絶対に重複することの無い唯一無二のIDです。

共有パラメータはこのGUIDによって管理されるため、例え同じ名称のパラメータであっても、GUIDが異なればRevit上では別のパラメータとして扱われる点に注意が必要です。

作成/編集方法および難易度

RevitのBIMオブジェクト作成は、「ファミリ編集」という専用のUIを用いて行います。(※注2)

※注2:厳密にはファミリ編集で作成・編集できるのは「ロード可能なファミリ」であり、システムファミリは予め定義された項目のみが編集できます。

基準面・参照線・拘束条件を設定しながら形状と情報を定義することで、長さや幅等の寸法によって形状を変えるパラメトリックなオブジェクトを作成することができます。

ファミリの作成・編集に対して「難しそう」「専門家でないと触れない」と感じる方も少なくありませんが、基本的な編集作業は初心者ユーザーでも対応可能であり、特別なコーディングスキルは不要です。実務においては、既にあるファミリを流用・編集する運用もよく行われます。

既にあるファミリをベースに調整することで、ゼロから作成する場合に比べ、作業負荷を抑えることができます。標準的なファミリを調整することから始めることで、無理なくファミリ理解を深めることもできるでしょう。

家具や什器などの単純なファミリは、寸法パラメータの調整が中心で比較的容易に扱えます。

一方で建具や設備機器などは、タイプやパラメータ構成への深い理解が必要となり、用いるパラメータも増えるため難易度は高くなります。また図面や集計表、外部データ連携への影響も少なくないため、初心者はBIMマネージャーやBIMコーディネーターと相談しつつ進めることが良いでしょう。

Revitのオブジェクトの特徴として、特に作成・編集を行う観点で把握しておきたい機能を幾つか紹介します。

  • カテゴリ
    ファミリの作成や編集を行う際には、「カテゴリ」の概念をあらためて意識しておくことが重要です。カテゴリは単なる分類ではなく、表示方法、集計の可否、タグ付け、配置方法やホストの挙動などを規定する前提条件となります。

    システムファミリの場合、カテゴリは予め固定されており、後から変更することはできません。また、ロード可能なファミリやインプレイスファミリを新規に作成する際には、必ず最初にカテゴリを指定する必要があります。このカテゴリの選択によって、そのファミリがどのように配置され、どの集計やタグの対象となるかが決まります。
  • ホスト
    ファミリにはホストの有無という性質があります。壁ホスト、床ホスト、非ホストといった違いは、配置方法やモデル編集時の挙動に影響します。例えば一般的なドアオブジェクトは「壁ホスト」として作成されるため、壁に沿って配置され、そこから外れた位置には配置されない性質を持ちます。
  • 部屋計算ポイント
    「部屋計算ポイント」は、ドアや窓等がどの部屋に配置されているかを判断するための基準点です。例えばドアファミリには部屋計算ポイントが2つ設定されており、ドアが面する二つの部屋を認識することが可能です。計算ポイントの位置が意図しない側にある場合、建具表や部屋別集計で部屋名称がずれることがあります。部屋計算ポイントを活用するファミリを編集する際には、形状や寸法だけでなく、部屋計算ポイントが適切な位置に設定されているかを確認することも重要です。
  • コネクタ
    設備機器のファミリを扱う際に理解しておきたい要素として、「コネクタ」の概念があります。コネクタは、配管・ダクト・電気などのシステム同士を論理的に接続するための定義情報であり、単なる接続点ではありません。例えば、設備機器ファミリに設定された配管コネクタには、流体の種類、径、接続方式といった情報が含まれており、これらが配管システムと整合することで、自動的に配管が生成・接続されます。
図3:ファミリの振る舞いを左右する機能

以上のように、Revitにはファミリの振る舞いを規定する幾つかの機能があり、これらをファミリ利用目的に合わせて用いることで、効果的なBIMモデル作成と活用が可能となります。

オブジェクトが提供される環境

RevitのBIMオブジェクトは、さまざまな環境で提供・共有されています。

Revit標準ライブラリ(Autodeskファミリ)

インストール時に付属する基本的なファミリ群です。Revit 2021.1 以降のバージョンではRevit内の「Autodeskファミリをロード」ボタンより、必要なファミリを検索して都度ダウンロードして利用可能となっています。

図4:Autodeskファミリをロード

サードパーティが提供するファミリライブラリ

無償で利用できるものから、有償で高精度な機能を備えたものまで多数提供されています。
無償ライブラリの代表的なものとして、Revit User Group Japan(RUG)が提供する「RUG ライブラリ」が挙げられます。RUGのTF活動に基づいてファミリライブラリの整備が行われており、特に設備や構造のファミリが充実していることが特徴です。

有償ライブラリとしては、応用技術株式会社が提供するBooT.one(ブートワン)のライブラリや、株式会社ビム・アーキテクツが提供するAX-Familyなどが挙げられます。

メーカー提供ファミリ

建材・設備メーカーが自社製品のRevit用ファミリを提供しているケースがあります。AutodeskやRUG提供のような具体的な製品によらない一般的なファミリを「ジェネリックオブジェクト」と称することに対し、メーカーが提供するものを「メーカーオブジェクト」と称します。

ファミリを活用する際、「共有パラメータ」の運用には注意が必要です。異なる提供元のファミリが混在すると、同名でもGUIDの異なる共有パラメータが存在し、集計やデータ連携時に意図しない結果を招く場合があります。ファミリが単なる3次元形状や図面表記では無いという点に留意し、計画的にBIMモデル作成に用いることが重要です。

補足説明事項

ファミリが単なる3次元形状で無いことは繰り返し述べた通りですが、Revit内ではBIMという建築情報を支える基盤として機能しています。「建築設計三会」ではRevit版共有パラメータ(GUID)を公開していますが、これは組織やプロジェクトをまたいで情報連携を行うための一つの試みです。

また、Revit外と情報連携を行う際、IFCへのデータ書き出しにおいては、すべてのパラメータが自動的に出力されるわけではなく、設定やマッピングによって結果が変わる点にも注意が必要です。

BIMは導入すればすべてが自動化される仕組みではありません。難しく捉える必要はありませんが、ファミリやパラメータの基本的な性質を把握し、自身のBIM活用に用いることが大切です。

執筆者

株式会社久米設計
設計本部 兼 設計推進本部 DX室 室長
古川 智之